契約(Contract)
当事者間の意思の合致によって生じる法的な権利義務関係。書面の有無にかかわらず原則として成立するが、紛争予防のために明確な書面化が望ましい。契約書に記載すべきは目的・対象・対価・期間・解除事由・損害賠償・準拠法など。
新しい事業を立ち上げる、海外展開する、ベンダー契約を結ぶ、評価制度を作る──どんな経営アクションも、最後は 「法務・税務・労務」 という 3 つの土台に着地します。攻めの施策を支えるのも、守りの土台を整えるのもこの 3 領域です。
本ページでは、JG CORPORATION のコンサルタントが経営層・管理部門・プロジェクトオーナーとの議論で頻出する 法務・税務・労務 の主要キーワードを 5 つのカテゴリ・50 語 に整理しました。新任の管理部門メンバーの学習、社内勉強会の素材、お客様との目線合わせの下地としてもご利用いただけます。
当事者間の意思の合致によって生じる法的な権利義務関係。書面の有無にかかわらず原則として成立するが、紛争予防のために明確な書面化が望ましい。契約書に記載すべきは目的・対象・対価・期間・解除事由・損害賠償・準拠法など。
取引・協業の前段で締結する秘密情報の取り扱いを定めた契約。秘密情報の定義・利用目的・第三者開示制限・保存期間・違反時の損害賠償が要点。一方向 NDA と相互 NDA があり、立場や交渉に応じて使い分ける。
仕事の「結果」に対し対価を支払うのが請負(成果物責任)、「行為そのもの」に対価を支払うのが準委任(善管注意義務)。IT 開発では「準委任で進めて瑕疵責任を負わない」「請負で成果物責任を負う」かが大きな論点。
特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権・営業秘密などの総称。事業の競争優位の源泉であり、契約上は「成果物の著作権がどちらに帰属するか」「ライセンスはどこまで許諾するか」が中心的論点となる。
日本における個人情報の取扱いを定めた基本法。取得・利用目的の特定/同意取得/適正管理/第三者提供制限/本人請求対応が骨格。2022 年改正で個人関連情報・越境移転・漏えい報告義務が強化され、グローバル運用には GDPR 等との整合も必要。
サービス提供者と利用者の間の包括的な契約に相当する書面。民法改正で「定型約款」として位置づけられ、表示・周知のあり方・不当条項規制に注意が必要。SaaS では SLA・料金変更・データ取り扱いが争点になりやすい。
会社法上の意思決定機関。株主総会は会社の所有者である株主の最高意思決定の場、取締役会は業務執行を決定する経営会議。重要事項(M&A・組織再編・配当・役員選任)は所定の手続きを経ずに進めると無効リスクが生じる。
経営の透明性・公正性・説明責任を確保する仕組み。上場企業はコーポレートガバナンス・コード(CG コード)に従い、独立社外取締役・指名/報酬委員会・サステナビリティ開示などへの対応が求められる。
法令遵守だけでなく、社会規範・倫理・社内規程の遵守までを含む広い概念。内部統制・通報制度・研修・ハラスメント対応・反社対応など、組織全体のリスク管理体制として整備される。
M&A や資本提携の前に、対象会社の法的リスクを事前に洗い出す調査。契約・訴訟・知財・許認可・労務・コンプライアンスを横断的に点検し、買収価格・契約条件・PMI 計画に反映する。
商品・物品の所有権移転と代金支払いを約す契約。引渡条件(インコタームズ)・検収・契約不適合責任・所有権留保・遅延損害金・国際取引なら準拠法・仲裁地が論点。BtoB 取引の基本契約として極めて重要。
特許・商標・著作物などの知的財産を利用許諾する契約。独占/非独占、サブライセンスの可否、地域・期間、ロイヤリティ算定方法、解除事由、保証範囲などを細かく規定する。
クラウドサービスの利用契約。SLA(可用性・サポート水準)、データ所有権、サブプロセッサー、データ越境、解約時のデータ返還・削除、価格改定条件、AI 機能のオプトアウトなど、近年は論点が急速に増加している。
親事業者と下請事業者の取引における不当な行為(買いたたき・支払遅延・受領拒否等)を規制する法律。資本金・取引内容で適用が決まり、違反すると公正取引委員会の勧告・社名公表対象となる。
市場の公正かつ自由な競争を確保する法律。カルテル・談合・優越的地位の濫用・抱き合わせ販売・不公正取引慣行を禁止する。グローバル M&A では各国当局の競争法届出(合算売上要件)が必要となる。
製造物の欠陥によって生じた損害について、製造業者が無過失責任を負う法律。製品安全設計・表示・取扱説明書・PL 保険の整備が実務上の対応軸となる。
消費者向けの不当な表示・過大な景品提供を規制する法律。優良誤認・有利誤認・ステマ規制(2023 年)・打消し表示などが論点で、マーケティング部門の必修法令。
事業者と消費者の間の情報・交渉力の格差を是正する法律。不実告知・断定的判断・困惑による契約取消しや、不当条項の無効化を規定。BtoC 利用規約のレビューに不可欠。
紙の押印に代わる電子的な契約締結。電子署名法に基づき、本人性・非改ざん性が担保されれば原本性が認められる。クラウドサインや DocuSign が代表例で、印紙税不要・締結期間短縮・原本管理コスト削減が利点。
取引先が反社会的勢力に該当しないか確認するプロセス。暴排条例で全都道府県が義務化しており、契約書に反社条項を盛り込み、データベース照会・継続モニタリング体制を整備するのが標準実務。
法人の所得(益金 − 損金)に課税される国税。実効税率は法人税+地方法人税+住民税+事業税で約 30% 前後(資本金等で変動)。租税特別措置で研究開発税制・賃上げ促進税制などの優遇措置がある。
商品・サービスの提供に課税される間接税(標準 10% / 軽減 8%)。2023 年導入のインボイス制度では、適格請求書発行事業者からの仕入のみが仕入税額控除の対象。免税事業者との取引方針・経理プロセス改修が課題となった。
給与・報酬を支払う際にあらかじめ所得税を天引きして納付する制度。フリーランスへの報酬支払(10.21%)、配当、退職金などが対象。海外支払時は租税条約に応じて軽減税率の適用申請が必要。
グループ内国際取引の価格設定(移転価格)が独立企業間価格と乖離すると課税される制度。OECD ガイドラインに沿った文書化義務(マスター/ローカル/CbCR)に対応し、二重課税は事前確認(APA)や相互協議で解消する。
軽課税国(実効税率 20% 未満等)の外国子会社の所得を日本本社に合算課税する制度。OECD のグローバルミニマム課税(Pillar 2、最低 15%)も導入され、多国籍企業の税務戦略は大きく変化している。
2022 年に連結納税から移行した企業グループ内の損益通算制度。各社が個別に申告しつつ、所得・欠損金を一定範囲で通算できる。導入には適用判定・計算プロセス再設計が必要。
固定資産の取得原価を耐用年数にわたって費用配分する会計・税務処理。定額法・定率法があり、税務上の耐用年数は資産区分ごとに法定。少額減価償却資産・一括償却資産の特例なども実務でよく使う。
当期に発生した赤字を翌期以降の所得と相殺できる制度。中小法人は全額、大法人は所得の 50% を上限に控除可能(最長 10 年繰越)。M&A や事業再編では繰越欠損金の引継ぎ可否が大きな論点になる。
会計上の利益と税務上の所得の一時差異を調整するための会計処理。繰延税金資産・繰延税金負債を計上して PL の税負担率を平準化する。回収可能性の判断が監査でも重視される。
国税関連帳簿書類の電子保存ルール。2024 年から電子取引データの電子保存が完全義務化(紙保存不可)。タイムスタンプ・検索要件・訂正削除履歴などの要件を満たすシステム整備が経理現場の課題となった。
日本の労働条件に関する基本法。労働時間(原則 1 日 8h/週 40h)・休憩・休日・賃金・解雇・年次有給休暇など、労働者保護の最低基準を定める。違反は刑事罰の対象となる強行法規。
時間外・休日労働を命じるために、労使間で結び労基署に届け出る協定。上限は原則「月 45 時間・年 360 時間」、特別条項を結んでも「年 720 時間・複数月平均 80h 以内」など厳格な上限がある。
常時 10 人以上を雇う事業所が作成・届出を義務付けられる社内ルール文書。労働時間・賃金・休暇・服務規律・懲戒・退職などを定める。変更は労働者代表の意見聴取・周知が必要で、不利益変更は合理性が厳しく問われる。
正社員と非正規(パート・有期・派遣)の間の不合理な待遇差を禁止するルール。職務内容・責任・配置変更範囲を踏まえ、基本給・賞与・福利厚生・教育機会まで横並びで点検する必要がある。
始終業時刻を労働者の裁量に委ねるフレックスと、業務遂行手段・時間配分を本人裁量とみなして所定時間労働とみなす裁量労働制(専門業務型/企画業務型)。導入には厳格な手続要件があり、形だけの運用は違法残業リスクに直結する。
場所・雇用形態の多様化に対応する柔軟な働き方。テレワークでは労働時間管理・通信費補助・労災適用、副業では本業との競業避止・労働時間通算・健康管理が論点となる。
育児・介護のための法定の休業制度。育介法に基づき、男性版育休(産後パパ育休)や育休取得状況の公表義務化など改正が進行中。雇用保険から育児休業給付金・介護休業給付金が支給される。
パワハラ・セクハラ・マタハラ等の防止措置義務。2022 年 4 月から中小企業もパワハラ防止措置が義務化。方針明示・相談窓口・調査と是正・再発防止教育を組み合わせた体制整備が必須。
労働者の心身の健康を保つための仕組み。労働安全衛生法に基づき、健康診断・産業医面談・衛生委員会・ストレスチェック(50 人以上の事業場で年 1 回義務)などが運用される。
事業場の過半数代表者と使用者が締結する協定。36 協定・賃金控除・専門業務型裁量労働制・一斉休憩の例外などが代表例。届出有無・有効期間・過半数代表の選出方法が監督署対応で重要となる。
医療給付・傷病手当金・出産手当金などを支給する公的医療保険。協会けんぽ/組合健保/共済組合などがあり、標準報酬月額に応じた保険料を労使折半で負担する。
会社員・公務員等が加入する2 階建ての公的年金のうち 2 階部分。老齢・障害・遺族の各年金を支給し、国民年金(1 階)に上乗せされる。保険料は標準報酬月額×料率(18.3%)を労使折半。
失業給付・育児休業給付・教育訓練給付などを担う労働者向けの保険制度。週 20 時間以上の労働など加入要件があり、保険料は労使で分担。失業時のセーフティネットだけでなく、能力開発支援としての役割も大きい。
業務上・通勤上のケガや病気・死亡に対する補償制度。保険料は事業主が全額負担し、業種ごとに料率が定められる。テレワーク中・出張中・副業中の事故の業務性判断は実務上の論点。
給与所得者の所得税の精算手続。1 年間の源泉徴収税額と確定税額の差額を、12 月の給与で調整する。扶養控除等申告書・保険料控除申告書・住宅ローン控除申告書の回収と確認が経理・人事の年末業務の山場。
国民一人ひとりに付与される12 桁の番号。社会保障・税・災害対策の 3 分野で利用され、企業は従業員・取引先(個人事業主)から取得・本人確認・厳格な安全管理が義務付けられる。
退職時の一時金や年金として支給される従業員の老後資金制度。確定給付(DB)から確定拠出(DC・401k)への移行が進む。iDeCo の併用・マッチング拠出・運用商品の見直しなど、制度設計の自由度が高い。
勤怠データをもとに、支給額(基本給・各種手当・残業代)から控除額(社保・税)を差し引いて手取りを算出する業務。社保料率改定・税制改正への追随、複数雇用形態・複数拠点・海外給与の運用が課題。
従業員のパフォーマンス・行動・成長を評価し報酬・配置・育成に反映する仕組み。MBO・OKR・コンピテンシー・360 度評価・No Rating など手法は多様。評価の公平性と納得性の担保が常に最大の論点。
労基法で作成・保存が義務付けられる賃金関連書類。氏名・賃金計算期間・労働時間数・基本給・諸手当・控除額・実支給額を記録する。給与明細は所得税法・社保各法で交付義務があり、電子交付には本人同意が必要。