管理会計
経営者・管理者が意思決定と業績管理を行うための会計。法定の財務会計と異なり、目的に応じて自由に集計軸・期間・基準を設計できる点が最大の特徴。
管理会計は、外部報告のためではなく 「経営の意思決定」と「業績管理」 のためのアカウンティングです。原価計算・予算管理・KPI 設計・投資判断・業績評価といった一連の仕組みが、戦略を数値で語り、現場の行動を変える力を持ちます。
本ページでは、JG CORPORATION のコンサルタントが業績管理改革・経営管理高度化のプロジェクトで頻繁に扱う管理会計用語を 5 つのカテゴリ・50 語 に整理し、それぞれを 2〜3 行のシンプルな説明にまとめました。経理・経営企画・事業部門の共通言語を整える素材として活用いただけます。
経営者・管理者が意思決定と業績管理を行うための会計。法定の財務会計と異なり、目的に応じて自由に集計軸・期間・基準を設計できる点が最大の特徴。
財務会計は外部報告・過去・法定基準が中心。管理会計は内部活用・未来志向・自由設計が中心。両者は出発点となる仕訳は共有するが、編集軸と利用目的が大きく異なる。
事業部・製品・顧客・チャネル・地域などのセグメント単位で損益を把握する仕組み。経営判断の解像度を決定づける管理会計の中核アウトプットで、配賦設計の善し悪しが妥当性を左右する。
権限と責任の範囲に応じて業績を測定・評価する仕組み。コストセンター・プロフィットセンター・インベストメントセンターに区分し、組織設計と評価制度を結びつける考え方。
収益と費用の両方に責任を持つ管理単位。事業部制やカンパニー制と相性が良く、損益という共通指標で各部門を評価する仕組みとして広く採用される。
収益責任を持たず、費用の発生・管理に責任を負う単位。本社部門・工場・物流センターなどが典型例で、効率性と品質をKPI に評価する。
損益に加え、投下資本の責任まで負う管理単位。ROI・ROIC・経済付加価値(EVA)で評価され、資本効率まで踏み込んだ経営を担う事業ユニットに適用される。
複数のセグメントで共通に発生したコストを、一定の基準で各セグメントに割り振ること。配賦基準の選定が結果の納得感を左右し、経営判断の妥当性に直結する重要論点。
グループ・事業部間でモノやサービスをやり取りする際の社内取引価格。市場価格法・原価加算法などがあり、各部門の業績評価とグループ全体最適のバランスを設計する必要がある。
戦略 → 計画 → 実行 → 測定 → 評価 → 改善 というPDCA を回す枠組み。管理会計はこのサイクルを数値面で支える計器盤として、各ステップに情報を供給する役割を担う。
製品・サービス 1 単位あたりのコストを把握する仕組み。製品別損益・販売価格設定・在庫評価・業績評価のすべての土台となる、管理会計の基盤的領域。
操業度(売上量・生産量)に応じて変動する費用と、操業度に関係なく一定額発生する費用の区分。損益分岐点分析や限界利益の算定に欠かせない基本的なコスト概念。
特定の製品・サービスに直接ひもづけられるのが直接費、複数製品に共通して発生するのが間接費。間接費の配賦設計が、製品別原価の正確性を大きく左右する。
あらかじめ設定した「あるべき原価」と実際原価の差異を分析する手法。原価管理・差異の責任所在の明確化に有効で、製造業の現場管理に長く活用されてきた。
標準原価と実際原価のズレを価格差異・数量差異・能率差異などに分解し、原因を特定する分析。製造現場の改善活動・予実分析の出発点となる。
間接費を「活動」を介して製品・顧客に配賦する手法。従来の操業度配賦より精緻に製品別・顧客別の本当の収益性を把握でき、サービス業や多品種少量生産で威力を発揮する。
ABC の情報を活動の見直しに活用する経営手法。価値を生まない活動の削減、業務プロセスの再設計を通じて、原価競争力と業績の改善を同時に狙う。
変動費のみを製品原価に集計し、固定費は期間費用として一括計上する管理会計用の手法。CVP 分析や貢献利益管理に直結し、意思決定向き原価計算の代表として位置づけられる。
市場価格と目標利益から逆算して「許容原価」を設定し、設計段階で作り込む日本発の管理会計手法。製造業の競争力源泉として、開発・購買・生産が一体で取り組む。
量産フェーズに入った後も、現場の継続的改善活動でコストを下げ続けるアプローチ。原価企画とセットで運用され、製造業の累積的競争力を支える。
中長期戦略を踏まえた1 年単位の数値計画を策定し、運用していく仕組み。組織のリソース配分と部門コミットメントを明確化し、業績評価の基準としても機能する。
3〜5 年の事業戦略と数値計画を示す経営の青写真。年度予算はこの中計から落とし込み、KPI と投資計画も中計を基準に整合性を取るのが基本。
予算と実績のズレを要因分解し、施策につなげる活動。月次のレビュー会議の中心議題となり、現場の打ち手と経営判断の両方を動かす管理会計の主要アウトプット。
期初予算に固執せず、常に直近数四半期先までの見通しを更新し続ける運用。変動の激しい事業環境に追従するため、欧米先進企業を中心に標準的アプローチとなっている。
前期実績を出発点とせず、あらゆる費用項目をゼロから積み上げて妥当性を再検討する手法。聖域化したコストの抜本見直しに有効で、コスト構造改革プロジェクトでよく採用される。
予想される活動量から必要リソースを積み上げて予算を策定する手法。ABC の発想を予算編成に適用したもので、間接部門のコスト合理化にも有効。
事業活動・投資・財務に伴うキャッシュの出入りを予測し、資金繰りを管理する計画。黒字倒産を防ぐ実務的命綱であり、運転資本管理や借入計画と一体で運用される。
中長期の有形・無形固定資産への投資計画。NPV・IRR・回収期間などで投資案件を評価し、戦略・収益性・キャッシュフローの観点で承認プロセスを通す。
楽観・基本・悲観など複数の前提に基づき業績見通しを試算する手法。不確実な事業環境下で意思決定のロバスト性を高めるツールとして、予算策定や投資判断で活用される。
為替・原材料価格・販売数量など主要変数を変動させたときに業績がどれだけ揺れるかを定量化する分析。リスク所在の把握と、施策の優先順位付けに有効。
戦略・目標の達成度を測定する重要業績評価指標。財務 KPI のみならず、顧客満足・品質・人材など非財務 KPI も組み合わせ、戦略の実行度を多面的に評価する。
最終的に達成したいゴールを表す指標。KPI が「プロセス・先行指標」とすれば、KGI は「結果・遅行指標」にあたり、両者を組み合わせて戦略の進捗を管理する。
財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4 つの視点で業績を多面評価するフレームワーク。戦略を KPI に落とし込み、組織を一貫した戦略実行に向かわせる仕組み。
BSC の 4 視点における戦略目標を因果関係で結び、1 枚絵に整理した図。「人材育成 → プロセス改善 → 顧客価値 → 財務成果」という流れを可視化し、組織内コミュニケーションを促進する。
野心的な「目標(O)」と、その達成度を測る定量的な「主要な成果(KR)」を組み合わせた目標管理手法。短サイクル・透明性の高さを特徴とし、スタートアップを中心に普及。
投じた資金に対してどれだけの利益が得られたかを測る指標。投資・キャンペーン・プロジェクトの効率を比較する汎用的なものさしとして、管理会計で広く活用される。
事業に投下した有利子負債と株主資本に対するリターンを測る指標。WACC を上回るかどうかで企業価値創造の有無を判断でき、近年は経営目標として掲げる企業が急増。
税引後営業利益から資本コストを差し引いた経済付加価値。会計上の利益ではなく、資本コストを超える経済的な利益を可視化する指標として、業績評価制度に組み込まれる。
減価償却前・支払利息前・税引前の利益。会計方針や資本構成に左右されない「稼ぐ力」を示すため、M&A 評価や国際比較で多用される。
自社の業績やプロセスを競合他社・ベストプラクティスと比較することで改善点を見出す手法。社内ベンチマーク・業界ベンチマーク・異業種ベンチマークを組み合わせて活用する。
売上・コスト・利益の関係を変動費・固定費に分解して分析する手法。価格戦略・販売数量計画・コスト構造改革など、幅広い意思決定の出発点として活用される。
売上と総費用が一致し、利益がゼロになる売上水準。「いくら売れば赤字を抜けるか」を示す経営の安全水位で、固定費構造と粗利率の改善が損益分岐点を下げる王道アプローチ。
売上から変動費を差し引いた、固定費の回収と利益への貢献分。製品ミックスの最適化や、注文受託判断などの意思決定で、しばしば営業利益より重要な指標として扱われる。
既に発生し、将来の意思決定によって変化させられない費用。意思決定では考慮すべきではないが、心理的に引きずられがちな概念で、撤退判断の典型的バイアス源となる。
ある選択肢を選んだ結果、諦めた別の選択肢から得られたはずの利益。簿記上は計上されないが、リソース配分や事業ポートフォリオの意思決定では極めて重要な視点。
複数の代替案について「変化する収益・費用のみ」を比較する分析。意思決定に関係しない項目を排除することで、判断のスピードと精度を高める手法。
将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて投資の魅力を評価する代表的手法。NPV は金額、IRR は利回りでプロジェクトを比較し、設備投資・M&A の意思決定で広く用いられる。
投資額を何年で回収できるかを測るシンプルな手法。NPV/IRR より精緻ではないが、流動性とリスク感覚を直感的に把握できるため、現場の意思決定で根強く用いられる。
複数製品の生産・販売構成をどう組み合わせると利益が最大化するかを決める意思決定。制約条件下の限界利益最大化問題として捉え、線形計画法などで最適化される。
部品・サービスを内製するか外部購入するかを決める意思決定。差額原価・機会原価・戦略的重要性・サプライヤーリスクを総合的に評価し、SCM 戦略とも連動して判断される。
用語の意味は分かったけれど、「自社の業績管理をどう作り変えるか」「KPI 体系をどう設計するか」は、事業構造ごとに答えが大きく変わります。JG CORPORATION では、コンサルタントとエンジニアが一体となって、管理会計の制度設計から、データ基盤・経営ダッシュボード・S/4HANA 等への実装まで伴走支援します。